［監督挨拶］
[諸注意]を読まれてなお、ここに留まっていらっしゃる勇気のある方へ。

一体どんな物語なのかと、今、大変不安な心持ちでいらっしゃることかと思われます。
正直なところ、読もうか、それともやめておこうか、葛藤されているのではないかと推察致します。
只この物語は、とてもではありませんけれど、気軽に読んで下さいなどと云える類のものではない、その事はどうしても最初にお断りしておく必要がありましたので、あのような「断り書き」を設ける次第となりました。
あの[諸注意]の中に、読んで不快に思われる記述がありましたら、この場でお詫び致しますとともに、やはりこの物語はお読みにならない方がよいのではないかと、再度ご忠告申し上げます。

そして。
もし私たちの作品に、それでも敢えて付き合ってみようか！という気持ちのある奇特な方には、どうか物語の最後まで挫折することなくお付き合いくださること....これを切に、希望致します。
もし、最後まで挫折することなく読みきって下さったなら、多分そこには、その方だけしか手に入れることの出来ない、「感動」と言う名のご褒美があるのではないかと、私はずうずうしくも考えています。
以前の私がまさにそうであったように。

それでは最後に、「以前の私」が原作者にあてて書きました、「感想」の一部をこの場に記します。
これをもちまして監督「自薦文」とさせて頂くことを、皆様どうかご了承ください。

by 理恵


一体誰が、こんな困難な生き方を彼に教えたのか、そして選ばせたのか。
それともこれさえもまた、彼に生まれつき備わっている属性なのか。
彼は生まれついての戦士、であると同時に、彼は生まれついての天使、でもある。
あまりに相反する二つの属性を、彼はそのしなやかな体に何の矛盾もなく内包する。

一体どうしたら、こんな人間が生まれるのか。
それとも人間としての「不完全さ」が、敢えて彼にこんな困難な途を選択させているのか。

どんな激しい恐怖を絶望を感じても、決して失われることのない誇り高いその精神。
苛烈なまでに激しいその闘志。
野生の獣のような鋭い牙と、涼しげで硬質な瞳の輝き。
そして、全ての人々を許し、受け入れ、愛し、ただただ守ろうとする、あまりにも度を越えた、
馬鹿げた利他主義。

でも、僕にだって願いは…ある、と。
僕の願いは、それは…。


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