Ａｃｔ．５ 一週間 −イッシュウカン−
SIDE A 過ちの代償 −アヤマチノダイショウ−
ウラル山脈ナロドナヤ山中 ライの研究所
SIDE B 絶望の腕に抱かれるとき −ゼツボウノカイナニイダカレルトキ−
位置不明 Neo Black Ghost本部 → GO TO SIDE B
「はじめまして、というべきかな？ ００１……？」
「ソウ…ダネ……」
ライの研究所が陥落して６時間。負傷者の救助や残敵の掃討等、やるべきことを一通り片付けた００ナンバー一同とライ達は、司令室で対面した。
「あんたが、ライ？」
００４がじろりとライを見る。
「ああ。……紹介しておこう」
つと後ろに控える６人を見遣りつつ、ライは言葉を続けた。
「左から、対ＥＳＰシールドの研究をしているカティサックとそのチームのゴイド、アッシュ、ディオス。それから、ロボット工学者のチアフルにエレス。心理学者のレッサート、外科医のエストラだ」
「コチラ モ ショウカイ シテオコウ……マズ ハ ぎるもあ はかせ……」
ギルモアが軽く礼をする。
「ソレカラ…ボク ヲ ダイテ イル ノ ガ、００３。ソノ トナリ ガ ００４ ト ００２。ソノ ムコウ ニ イル ノ ガ ００６。かべギワ ニ イル ノ ガ ヒダリ カラ ００７ ト ００８ ト ００５ ソシテ、でぃぐ」
「はじめまして。君達の事は資料で読んだ。お目にかかれて光栄だ……。これで、００９がいれば、な……」
ライがため息をつく。
「何で…何で、ジョーを渡したっ？」
００２が低く叫ぶ。
「……００９を彼等に渡さなければ、俺達は、一人として生きてはいなかっただろう。確かに、俺が００９を手元においておけば、００９は連れ去られず、ここで君達と合流できたろう。だが。俺達は、全滅していたさ」
そして、ライは００ナンバー一同を見回し、言葉を続けた。
「今日の朝まで、俺の仲間は２６人いた。その中で無傷なのは、ここにいる６人だけ。軽傷７、重傷５……そのうち３人は、恐らく明日までは持たんだろう。……あとの８人は、死んだ。……君達がここに来るまで何もせず、００９が連れ去られるのを黙って見ていれば、死者は出なかったかもしれない。少なくとも８人のうち５人は生き残れた筈だ」
そして、ライはちょっと黙った。
「……００９を助けられなかったのはすまなかったと思う。だがな、俺は…いや、俺の仲間達は、できるだけの事をした。力が及ばなかったのは……どうしようもない」
「……悪かった…つい…」
００２が謝る。それへ、ライが首を振る。
「いや、いいんだ……判って貰えれば、な」
それから００４を見、言葉を続ける。
「…それで、だ。色々尋きたい事があるんだろう？」
「ああ」
００４が無愛想に頷く。
「では、隣の部屋へ行こう。会議室だ。座って話した方がいいだろう？」
「ああ」
「俺だけでいいか？ それとも、ここにいる全員？」
そう言って、６人の仲間を示す。それへ、００４はぶっきらぼうに答えた。
「あんただけでいい」
「判った」
そして、一同はぞろぞろと会議室へと向かった。
☆
「さて、と。００４。君がリーダーのようだから、まず、君の疑問に答えればいいのかな？」
全員が座ったところでライはそう言った。
「……」
００４は答えない。それに構わず、ライは言葉を続けた。
「それとも……００１。全員に、俺の思考を中継するか？」
全員が００１に注目する。
「…イヤ、ソレハ シナイ。マズ、００４ ノ ギモン ニ コタエ ヲ。ソレカラ、シツモン ヲ シタ モノ ニ コタエテ……。」
「判った。では、まず００４の疑問に答えよう」
００４が冷たい瞳でライを見る。
「最初に言っておくが、現在の俺は、Neo Black Ghost の敵だ。ま、確かに、それが、イコール君達の味方であるとは限らないがね。……００１がいるから隠し事は無駄だし、もとより隠すつもりは無いから、言ってしまうと、俺はNeo Black Ghost 設立者の一人だ」
一瞬、全員がざわめく。
「ギルモア博士のように、だまされていた訳ではない。それと知りながら、その創立に力を貸した。１５年程前の話だ。当時、俺には友人がいた。だが、そいつにはちょっとした問題があった。知能の発達が阻害されていてたんだ。俺と大差無い年だった筈なのに、日常の会話にもなかなかついていけない有様だったんだ。俺は脳外科医のはしくれで、同年代の中ではピカ一の腕前で、手術を頼まれて出かける事も少なくなかった。それで、何とかそいつの頭を人並にできないものか、と。もっと言えば、俺になら何とかできるだろうと……まぁ、そう思って、色々と研究を重ねた。そして、俺は一人の男に出会った。そいつはあるレポートを俺に見せてくれた」
そして、ライは００１を見た。
「ガモ・ウィスキーという男の書いたレポートだ」
全員が息を飲む。
「そこには、新生児にある手術を施した結果、人知を越えた力を得るに至ったと……知能の向上だけでなく、超能力…俺と同じような力を手に入れたと……書かれていた。ただ。その手術は非常に危険で、そして恐らく非合法であろうと思われた」
そこで、ライはため息をついた。
「しかし、当時の俺はそんな事は全く気にしなかった。そして俺はその男に協力することにした。そいつは、口に出しては言わなかったが、世界を戦乱の渦に陥れる計画を持っていた。奴は、その為に俺を利用しようとしていたんだ。当然ながら、たくらみは、俺には筒抜けだった。だが、俺はだまされたフリをした。世界の行く末など俺の知ったことではなかった。非合法の研究を誰にはばかることなくすることができる、しかも、研究費をいくらでも使って……。その事の方が俺には重要だったんだ。……そして俺は、その友人を連れて行方をくらました」
ちょっと言葉を切り、遠い目をする。
「当時の俺は、自分の才能に酔っていた。俺がテレパシストであることを知るものは誰もいなかったから、全員の考えはすべてお見通しだったし、研究も順調だった。そして、いよいよ、友人に脳手術を施すことになった」
ライが一瞬目を伏せ、それから瞳をあげる。
「手術は…ある意味では、成功だった。確かに、奴の知能は常人を遥かに越えるレベルに達した。他人の思考を読むことはできないが、感情の波を感じることはできるようになった。共感能力。いわゆる、『エンパシー』と言われる能力だ。しかし……。奴はそれまでの記憶を総て失った。俺の事も忘れ、自分が誰かも判らなくなっていた。そして、性格が恐ろしく残忍なものになっていた」
ライが下唇を噛む。
「最初の一週間で、奴は５人の男を殺した。普通の殺し方じゃない。なぶり殺しだ。耳をそぎ落して、目をえぐり出して……。そうやって、奴は楽しんでいたんだ。殺される者の、苦痛と恐怖の“感情”の波を」
しん、と静まり返った室内に、ライの低い声だけが響く。
「……奴は狂っていた。確かに知能は高くなった。しかし……。一月も経って、言葉を覚え、様々な知識を吸収するようになると、奴はもっと恐ろしいことを始めた。兵器の開発だ。しかも、一撃で殺すのではなく、徐々に殺すような……。何十人もの人間がさらわれてきて、実験台にされた。その悲鳴を…奴は楽しんだ訳だ」
ライが大きく息をつく。
「……ことここに至って、やっと俺は自らの犯した罪の大きさに気付いた。だが、もう手遅れだった。奴の方が、俺よりも数段悪賢く、抜目がなかった。奴を利用していたつもりの初代総裁……俺の下へガモ博士のレポートを持ってきた男は、奴に殺された。奴は別の人間を総裁に据え、影で Neo Black Ghost を支配した」
「俺は、何度も奴を殺そうと試みた。だが、総て失敗した。テレパシストでなければ、逆に殺されてただろう。そして、奴を殺せないまま、俺は本部を追い出され、ここにやってきた。俺は、待つことにした。いや、待ってチャンスを伺う事以外、俺にできることはなかったんだ。とにかく、奴を始末せずに死ぬわけにはいかない。そして、Neo Black Ghost に無理やり連れてこられた者達を少しづつ集め始めた。それが、アイラニやカティサック達だ。俺は何としてでも彼等を守らなくてはならないんだ。彼等は好きでこんな所にいる訳じゃないんだ。だが…俺はもう、何人も死なせてしまった。これ以上、死なせる訳にはいかない。従って！」
そこでライは００４をキッと見据えた。
「俺は Neo Black Ghost の敵だ。だが、彼等を危険に晒してまで、君達に協力することは、できない。俺個人ならば、話は別だ。君達が、奴を殺してくれるのならば…な」
「……そいつの居場所は、判っているのか？」
００４が問う。それへ、ライは首を振った。
「いや…判らん。奴は Neo Black Ghost 本部にいる。だが、本部の位置は、不明だ」
「イワン…？」
００４がライを見据えたまま、００１に問う。
「らい ハ ウソ ヲ イッテ ハ イナイヨ。カレニハ ウソヲツク キ ハ ナインダ」
「…で。そいつの名は？ ……Neo Black Ghost の真の総裁である、そいつの」
００２が尋く。
ひと呼吸おいて、ライは言った。
「……クワイト…。そして、恐らく、００９の命を握るのも……奴だろう……」
☆
「ここが調理場みたいね」
「そうらしいアルね」
そう答えて、００６が扉を開けようとした。
その途端。
「どぉわあぁぁーっ！」
物凄い勢いで扉が開けられ、男が転がり出てくる。そして、もうもうたる湯気。
「チアフルの、どあほー！」
「ぅうわあぁっ！ エレス、逃げるなっ！ くそ、てつだえっ！」
「冗談じゃないっ！」
どたん、ばたん、どんがらがっしゃん……。
しーん。
００６と００３は顔を見合わせた。
湯気が引いたところで中を覗き込む。ひっくり返ったロボットらしきものと、壊れた皿の破片、フライパンやら鍋、そして野菜や肉の破片が床に散らばっている。そして、調理場の一番奥に、白衣を着た男が座り込んでいた。
「あ…あのぉー…？」
００３がおそるおそる声をかける。
男が顔を上げ、００３と００６を見て目を丸くする。そして、片手で頭を掻きつつ、照れくさそうに笑った。
「あ…ども……」
ゆっくりと立ち上がり、周囲の惨状を眺めてため息をつく。
「えーっと…御用は何です？」
「あ…あの……」
００３が言い淀み、００６を見る。
「えーと、ワテらは食事の用意でもしようかと思って来たアルけど……」
「あ…ああ、食事の用意ね……あ…あはははは……その、今、食事の用意をしようとしてたトコなんだ………」
「は…あ……」
００６が００３を見上げ、肩をすくめてみせる。やむなく００３は言った。
「えーっと、チアフル…さん、でしたっけ？ ……これは一体、何事なんですか……？」
「あ…あぁ、これ、ね……」
チアフルが眉根を寄せて腕を組んでみせる。
「いやぁ、調理ロボットがね、ちょっと暴走しちゃって……」
「ちょっと？」
００３と００６の声がハモる。
「そ、ちょっと。まぁ、調理場に立ち込める蒸気によって回路が故障したのが原因だとおもわれるんだけど……」
チアフルが頷いて見せる。それから、組んでいた腕を解き、二人に向かって愛想笑いをしてみせた。
「で、ものは相談なんだけど…ここ片付けるの、手伝って貰えないかな……？」
００３と００６は天井を見上げた。
☆
盛り上げられた新しい土の前にひざまずき、無言のまま短い祈りを捧げ、カティサックはゆっくりと立ち上がった。振り返り、三歩程後ろに立つ００２に一礼する。
「埋葬につき合って下さって、ありがとうございました……」
「いいってことよ」
００２が短く言う。
参列していた一同が、ぞろぞろと研究所に戻っていく。それを見送りながら、カティサックは小さくため息をついた。
「……我々が作り出した兵器によって死んでいった人達は、恐らく、大勢いるのでしょう……。我々の罪は、軽くはありません。それでも……」
その先を言わず、カティサックは目を閉じた。
「くよくよすんなよ。悪いのはあんたらじゃなくて、あんたらに兵器を作らせた、Neo Black Ghost の……」
慰めようとする００２台詞をカティサックは遮った。
「我々は、その、Neo Black Ghost の構成員だったのですよ、００２……。『Neo Black Ghost の奴等』というのは我々の事なのです」
「……」
００２は返答に窮してしまった。
しばし、沈黙が続く。
そして。
「…すみません……」
カティサックが低く呟くように言った。
「いや……」
「あなた方は、強いですね。数え切れない程の修羅場をその目で見て来たのでしょうに……。我々は、弱い。力だけでなく、心が……。たった一人の仲間の死ですら、容易には乗り越えられません。もっと強くならなければ。……あなた方や、ライのように……」
「ライ…？」
００２が尋き返す。それへ、カティサックは頷いた。
「ええ。……彼は強い。彼は、自らの罪の大きさを知りながら、逃げもせず、淡々と、その償いをしようとしています。私が彼ならば、罪に気付かぬ振りをしたか、罪の重さに押し潰されて命を絶ったか……少なくとも、彼のように立ち向かうことは出来なかったでしょう。かつて、彼がこう言った事があります。自分の罪は、死んで償えるほど小さいものではない、と。それは、我々も同じです。生き残った者は、戦わなくてはなりません。それが、我々が殺した人々への、せめてもの償いです」
自分に言いきかせるような口調で、カティサックは言った。
☆
「００４達から連絡は？」
埋葬を終えて司令室に戻ってきた００２は、コンソールの前に座る００８に声をかけた。
「いや、まだ何も……」
００８が首を振る。００２は小さくため息をついた。
「そうか……」
００９が連れ去られていった先であろう、Neo Black Ghost 本部の捜索を開始して、はや５日。００４、００１、００３、００７とライを乗せて偵察行に発ったドルフィン号からは、まだ一度も連絡がない。こちらの動きをできるだけ Neo Black Ghost 側に気付かれないようにするため、通信は必要最小限にすることになっている。つまり。何の連絡もないということは、今のところ何の成果もあがっていないということなのだ。
「あと、２日か……」
捜索の結果がどうあれ、一週間たったら戻ってくることになっている。それまでに何の成果も上がっていななければ、何か別の手を考えなくてはならないかもしれない。
（だが、どんな手がある？ ……００１ですら、見つけられないのだとすれば……？）
対ＥＳＰシールドは、かなり強力なものらしく、００１の能力をもってしても、その内部を見通すことはできないのだ。
（００９と００１とが、コンタクトできれば……）
しかし。ライの研究所の、対ＥＳＰシールド内にいた００９を００１は発見できなかったのだ。望みは薄い。あとはライのサポートだが、それがどれ程のものかは、００２には判らない。００２は小さくため息をついた。
室内を沈黙が覆う。
「………静かだな……」
ふと、００８が呟く。
「……そうだな…」
それへ、００２は静かに応じた。基地内外に取り付けられた警報装置のパネルを眺めながら、００８が言葉を続ける。
「俺たちがこの基地を乗っ取った事を、奴等は知らないのかな？」
「まさか、そんな事はないだろ」
「だとしたら……何故、攻撃してこないんだ？」
「ああ…俺も、そう思った。だがな。ライは、暫くは攻撃はしてこないだろうっつったんだ」
頭の後ろで手を組んで背もたれによりかかりつつ、００２が答える。その言葉に、００８が不審気な表情をした。
「何故？」
「……ライが言うには、だ。連中は、俺達のせいで、えらい目にあっている。しかも今回、一度は俺達のほとんどを捕らえておきながら、逃してしまっている。よーするに、一方的にやられっぱなしだ。幹部連も馬鹿じゃない。故に、俺達に勝てる方策が立つまでは、攻撃はしてこないだろうというわけだ。それと、もうひとつ……」
そう言って００２は眉根を寄せた。
「……ジョーだ。奴等はジョーを捕らえた。当然ながら、ジョーは俺達の事をよく知っている。だから……ジョーを尋問して、俺達についての十分なデータを揃えるまでは、攻撃してこないだろう……とさ」
沈黙。
そして、００８が低く呻く。
「だけど……ジョーが、奴等に俺達の情報を喋るか？ ……たとえ……拷問…されたとしても……」
「喋るもんかっ！ ジョーが奴等の言いなりになる訳ないっ！ ……だが……」
ふっと息を吐き、００２は呟いた。
「…だが……だとすれば、今度こそ、ジョーは殺される…！」
バイスの基地の地下牢から、半死半生の状態で助け出された、あの時の００９の惨状を思い出す。そして、００２はその光景を振り払うように頭を振った。
「…何故……ジョーが…ジョーだけが……」
こうまでも、ひどい目に会わねばならないのか。震える声で呟く００２の言葉に００８は唇を噛んだ。
「…判ってるんだ、ヤツラにも……」
絞り出すように言い、００２を見遣る。
「…ジョーが、俺達の要だって事が。ジョーがいたからこそ、俺達が勝ち続けて…生き残って来られたんだ、ってことが……！」
☆
ふっと意識が焦点を結び、そして、アイラニは目を覚ました。
（…あ……００９…は……？）
がばっと起き上がったつもりだったが、僅かに頭が持ち上がっただけだった。
（？？？）
当惑し、当りを見回す。
（病…室……？）
そこは、研究所内の病棟の一室であった。
ゆっくりと息を吐き出し、記憶の糸を辿る。
（離着陸口へ行って…それから……）
クライムの部下に待ち伏せされ、一緒に行った５人の仲間が一瞬で殺され、そして、自分も撃たれた。それから……？
アイラニが最後に見た光景は、轟音をあげて飛び立つ小型挺。
（００９は……？）
無事に救出されたのだろうか？ それとも……？
カチャ……
不意に扉が開いた。巨体の男が入ってくる。００９と同じく、真紅の戦闘服に黄色のマフラーを垂らした。
「気がついた。よかった……」
静かな声で、男が言う。
「あ…あの……」
「俺、００５。敵でない」
「…あ…アイラニだ……。あの、００９は…？」
つと００５が目を伏せる。それだけで、アイラニは事態を察した。苦い思いが胸中を駆け巡る。
「…す…すまない……００９を…助けられなかった………」
非力な自分に腹が立つ。ライの味方で唯一人の戦闘員だというのに、仲間を５人も死なせた上に、００９ひとり助けられなかったとはっ！
「自分責める、よくない。みんな、００９助けるため、一生懸命やってくれた。感謝している。００９、助からなかったは、運、悪かった。おまえのせい、ない」
静かに言う００５にアイラニは感謝した。何故００９を助けられなかったか、と責められても仕方のない立場なのだ。
「すまない……」
「傷、深い。でも、峠、越した。よく寝る、早く治る。００９、００４やライ達、みんなで、探している。きっと見つかる。心配、ない」
そう言うと、００５はもう一度、眠るようにと言って、病室を出て行った。
その後ろ姿に小さく黙礼し、アイラニは目を閉じた。何にせよ、今の自分に出来ることは、傷を治すことだけなのだ。傷が癒え、動けるようになれば、少しでも役に立つことが出来る。
（……００９……どうか無事で………）
そう呟き、アイラニは眠りに落ちた。